QotD:好きな詩
あなたが好きな詩(ポエム)を一つ教えてください。
「古い池に 蛙が 飛び込む 音が聞こえる」
文学者のなかで多大な影響を受けた人は誰かと問えば、迷うことなく、西脇順三郎と即答する。
特に高校時代は、西脇のなかで異質とも言われた詩集「旅人かえらず」を読みふけった。ほかのジャンルの数冊と共に、それこそ手に取れる範囲に必ずある文庫本であった。今でも少しはそらんじることができるかもしれない。
「旅人かえらず」は、西脇が深沢・駒沢・砧・玉川・用賀、つまりは僕が現在住んでいる付近を散策して練り上げている。散歩する情景が、そしてその時点での彼の心象風景が、場の空気と共にこの詩集のなかに封じられている様に、僕には思える。だからか、僕も同様にこれらの地域を散策すると、突然ではあるが、ひとつの快楽を伴って、ふいに詩の言葉が浮かんでくる時がある。その時、言葉ではなく、ひとつの生々しい感触でもって、僕は詩の一文の意味を唐突に理解する。言葉にならぬ感触は、言葉にならぬが故に、即座に昇華する。そして後には、水蒸気となって気化した後の空気感にも似た、一種の湿り気となって、僕のなかで漂う。
上の詩は西脇の後期の詩集からの一つ、僕の記憶の中から引っ張り出してきたので、誤っているかも知れない。でも「言語遊び」としての詩の側面が露骨に出ていて、逆にそれが面白い。
一つ教えてくださいとあるが、ルールに反し、やはり「旅人かえらず」の冒頭部分を下記に記す。その前に、「旅人かえらず」とは縁起の悪いことを書いてしまったかも知れない・・・旅人よ、やはり帰ってきて欲しい(笑)
旅人は待てよ
このかすかな泉に
舌を濡らす前に
考えよ人生の旅人
汝もまた岩間からしみ出た
水霊にすぎない
この考える水も永劫には流れない
永劫の或時にひからびる
ああかけすが鳴いてやかましい
時々この水の中から
花をかざした幻影の人が出る
永遠の生命を求めるは夢
流れ去る生命のせせらぎに
思いを捨て遂に
永劫の断崖より落ちて
消え失せんと望はうつつ
そう言うはこの幻影の河童
村や町へ水から出て遊びに来る
浮雲の影に水草ののびる頃
Comments
駒沢のあたりを散策するAmehareさんと西脇順三郎さんの姿が重なって見えました。以前に読んだ記憶がありますが、改めて味わうと良いですね。お気に入りの詩というのは、年を重ねてから繰り返し眺めると、何回でも違った気持ちで読むことができますね。それこそが名詩と呼ばれるものでしょうか。
古い池に・・・も、国語の先生が教えて下さった記憶があります。小さい頃はなんだそりゃーと思いましたが、ばかもの!と叱ってやりたい気分です。
もう一つ、お目汚しかと思いますが、言葉遊びといえば漫画家の弓月光さんという方が「エリート狂奏曲」という作品の中で
"Full I care, cowards to become miss note." さぁ日本語に訳してごらんとクイズを出していました。
答えは、音読してみるとわかります。
「古池や蛙とびこむ水の音」でした。日本語訳でも何でもないじゃん!と思いましたが今でも妙に記憶に残ってます。
長文、失礼しましたー。
長文大いに結構です!(笑) ホントにありがとうございます。
詩について、えびさんの言われるとおりだと思いました。最初の頃は読んでも、リズム感だけで気持ちが良くて、それだけで読んでしまうんだけど、意味はさっぱりわからなくて、それでも読み続けていると、その時々の気分で、ああそうなのかぁー、などと詩の一文が浮かんで意味が突然に閃いて、それだけで嬉しくなってしまう、でも家に帰ると、もうさっきの感動はいったい何だったの?、って感じなんです。そういうのを繰り返してきているような、そんな人生です(って大袈裟ですね 笑)
古池や・・・そうなんですか良い先生に巡り会われましたね。僕の方は、西脇のことはちっとも教えてくれなかったです。「古池はー」って、いろいろな意味でシュルレアリスムな印象を持っています。まずは、西脇順三郎が書いてこそ、小学生並の作風が、何故か高等なテクニックに思えてしまう点(笑)、次にそれを基にして、新たな発見が起こるけど、結局は松尾芭蕉の陰が見えている点(陰が見えるからこの詩は良いんですけどね 笑)、例えは悪いかも知れないけど、雨傘とパソコンが並べられて売られている様な、感じかな、って悪すぎる例えでした(笑)
弓月光さん知ってます^^
でもこのクイズは知らなかったです。面白いですねぇ!!
こういう話って大好きなんで、もっともっと教えてください!って思います!